問題文の語句をその場で解説する機能はYOKARO側で用意しており、ヨカロウ医師が解説します。一方、問題ごとのAI解説は、自分自身のAPIキーで生成する設計です。
AIが出す答えを鵜呑みにせず「疑う」感覚は、自分の手でAIに解かせてみて初めて身につくと考えているためです。数百円〜1,000円程度のAPIキーで、模試を自作することもできます。
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YOKAROには、2種類のAIが登場します。
ひとつは、問題文中のわからない単語を長押しすると、その場で説明してくれるYOKARO持ちのAI。もうひとつは、自分で取得したAPIキーを設定すると使える、あなた専用のAI解説機能です。
この2つは、似ているようで、実は役割がまったく違います。今日はその違いと、AIとの「正しい距離感」について、お話しします。
まず、大事な前提から話させてください。
AIが出す解説を、ただ受け取って読むのと、自分で「知りたい」と思って自分の手で答えを引き出そうとするのとでは、書いてある内容がまったく同じだったとしても、学習効果は同じにならないはずです。これはYOKAROの見解であり、同時に、学習科学の分野でも支持されている考え方です。
心理学者のミシェリーン・チーとルース・ワイリーが2014年に提唱した「ICAPフレームワーク」という理論があります。学習者の関わり方を、受動的(Passive)、能動的(Active)、構成的(Constructive)、相互作用的(Interactive)の4段階に分け、関わり方が深くなるほど、学習効果も高くなるという考え方です。たとえば講義をただ聞くのは受動的、ノートを取るのは能動的、自分の言葉で説明し直すのは構成的、対話をしながら知識を作り上げていくのは相互作用的、というように整理されます。チーらの研究では、同じ教材であっても、受動的な関わり方から相互作用的な関わり方へと段階が上がるごとに、学習の伸びが8〜10パーセントずつ積み上がっていくことが示されています。
つまり「情報の中身」ではなく「情報とどう関わったか」が、記憶の残り方を左右するということです。
この考え方は、相手が人間の先生であっても、AIであっても、変わらないだろうというのがYOKAROの立場です。実際、それを裏付けるような研究も出てきています。
2025年に発表された、中学生がAIの教師役エージェントを使って数学を学ぶ様子を分析した研究では、AIとのやり取りが受動的になってしまった生徒ほど、学習後の成績が下がる傾向にあったことが報告されています。逆に、AIに対して自分から働きかけ、構成的にやり取りをした生徒ほど、成績の伸びが大きかったとされています。
AIそのものが優れているかどうかより、「AIをどう使ったか」のほうが、結果を分けているということです。YOKAROがAIの扱いに神経質なくらい慎重なのは、この一点に理由があります。
YOKAROの問題ごとのAI解説は、AIに正解をあらかじめ教えた上で解説させるのではなく、AI自身に考えさせて、AIなりの答えを導かせる形にしています。
これは不完全さを、あえて残す設計です。AIが出した答えが、本当に正しいとは限りません。だからこそ受験生は、その解説を鵜呑みにできず、「本当にそうか?」と自分の頭で検証せざるを得なくなります。この「疑いながら読む」という姿勢こそが、ただ正解を丸暗記することより、はるかに価値のある思考の訓練になります。
教科書的な理解を、もう一つ別の角度から試す。YOKAROのAI解説は、模範解答ではなく、そのための「壁打ち相手」として置かれています。
YOKARO側で用意しているAI解説とは別に、自分自身のAPIキーを設定して、自分専用のAI解説をつくる機能もあります。これは任意の機能で、すべての問題に使う必要はありません。理解しにくかった問題だけで十分です。
なぜ、わざわざ自分のキーを使ってもらうのか。理由は単純で、スタッフが用意した解説を読むのと、自分がその場でAIに問いを投げて、自分のために答えを引き出す行為とでは、向き合い方がまったく違うからです。
前者は受動的な消費です。後者は、ICAPフレームワークでいう構成的、あるいは相互作用的な関わり方に近くなります。何を質問するか自分で考え、返ってきた答えを自分の知識と照らし合わせて検証する。この一連の過程そのものが、学習になっています。
費用の面でも、決して大きな負担ではありません。1問あたりClaudeでも数円以内で収まります。10ドル程度チャージしておけば、かなりの量の解説を自分の手でつくれます。模試を自作したい場合も、この仕組みを使えばあっという間です。一度、自分の手でAIから答えを生成する経験をしてみてください。やってみた人には、この感覚がきっとわかるはずです。
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一方で、問題文中の医学単語を長押しすると出てくる解説は、YOKARO側の費用負担で提供している、いわば受動的に受け取ってよい情報です。
なぜここは受動的でよいのか。それは、この機能の役割が「思考すること」ではなく「立ち止まらないこと」だからです。知らない単語でいちいち手が止まっていては、演習のリズムが崩れてしまいます。ここでのAIの役割は、壁打ち相手ではなく、辞書です。立ち止まらずに済むための、最小限のサポートとして割り切って使ってください。
もし、このAIがうまく応答しないときは、チャージ切れの可能性があります。
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YOKAROがAIに求めているのは、正解を渡す係ではなく、あなたが自分の頭で考えるきっかけを作る係、という立ち位置です。
便利なAIほど、使い方を誤ると、思考の代わりをさせてしまいます。しかし、少し立ち止まって、AIの答えを疑い、自分の言葉で検証し直す。その一手間を自分に課せるかどうかで、同じAIを使っていても、身につくものはまったく変わってきます。
YOKAROは、その一手間を選びやすくするための場所でありたいと思っています。
参考文献・出典
Chi, M. T. H., & Wylie, R. (2014). The ICAP framework: Linking cognitive engagement to active learning outcomes. Educational Psychologist, 49(4), 219-243.
Nature Scientific Reports (2025). Engagement patterns of middle school students with AI teachable agents in mathematics learning.